八ヶ岳 阿弥陀岳北稜と赤岳主稜 アルパインクライミング

冬が来たので、さっそく八ヶ岳に行ってきた。駐車場に着き、歩き出す準備をしながら、去年はこんなに寒かったかなあ?と早くも帰りたい気持ちになり、久しぶりの重い荷物にさらに弱気になった。前日に飲んでしまったコーヒーと目覚まし時計がなるかどうか心配でほとんど寝ていなかった。
冷たい風と雪が吹きつける中、睡眠不足でこんな岩壁を登るべきではない。寒くて自問自答が続いた。「なんで俺はこんなことしているのだろう?」阿弥陀岳北稜を登りきったが、辛い思いしかなかった。降りはフラフラで何度も転びながらベースキャンプ地の行者小屋に着いた。
ひとつの村のようになったキャンプ場のテント内で夕食を済ませ、すぐに眠りについた。風がテントに強く当たる晩だった。翌日の4時に起き、5時半に出発した。赤岳主稜で順番を待たないようにするためだ。ヘッドランプを点けながら文三郎尾根を登っていくと、月明かりと朝日の青い風景にハッと息をのんだ。
登山道を離れ、赤岳主稜の取り付きまで急斜面をトラヴァースした。落ちたらかなり下まで行き生きていないだろう。tosizoさんが核心であるチョックストーンを越える1ピッチをリードしていった。寒さをこらえ自分の順番が来た。アイゼン、ピッケルを使い登るのだが慣れていないので登りづらかった。あたりは岩と雪しかなかった。
振り返ると、自分がとんでもない所にいるなと確認できた。昔の同僚に連れて行ってもらった雪の八ヶ岳から3年たったが、まさかこんなことするようになるとは・・・。
時折、雪を含んだ冷たい強風に襲われた。その時はなにもできない。
ピッケルをしっかり利かせながら、リードするアルパインクライマーtonocci。
後方には昨日登った阿弥陀岳が朝日に照らされていた。早く陽を浴びたいが、西側に、陽はまだ届かなかった。
8ピッチ目に差し掛かり、稜線に近づいていった。主稜だけあって、距離もなかなか長い。寒さ、疲れ、緊張感が蓄積されていく。精神的にも体力的にも辛い登りだった。
そして、とうとう稜線にでた。赤岳山頂はすぐそこにあった。子供の頃、家族全員で訪れた赤岳に、足久保山岳会で、そして今回、biku biku boysでアルパインクライミングとして登ることができた。

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