北岳バットレス第4尾根2010

3回目となる北岳バットレス第4尾根を登ってきた。金曜日の夜に静岡を出発し、芦安の駐車場に泊まり、次の日の早朝、1ボックスのタクシーに乗り込んだ。出発地点の広河原に降り立ち、予定通り急いで歩き出した。ここでもたつくと、20名から成る他グループの後にバットレスに取り付くことになり、それはバットレスを登りきるときは日が暮れ、暗闇のなか北岳山頂を越えることを意味していた。飛ばし過ぎないように安定した速度でトシゾーさんが私達パーティーを引っ張っていった。
歩くペースは決して遅くはなかった。それでも後ろから、ザックにヘルメットをぶら下げた大人数のパーティーが迫ってきた。まずいと思いながらも、あまりの速さに先を譲った。急がなければならない山登りは消耗が激しい。ぬかされたがペースは落とさずに歩き続けた。すると、沢に架かる橋の地点で休憩している大人数のパーティーを抜き返すことができた。
後ろから迫りくるプレッシャーを感じながら、私達はひたすら歩き急いだ。2時間で二俣に着いた。残り1時間、登山道を離れ、やぶ漕ぎの厳しい道が待っていた。少し下の辺りに大人数のパーティーが見えた。足が止まり始め、休憩が多くなってきたが、バットレスの入り口にたどり着いた。登り口からここまで約3時間、かなり速いペースだ。
大人数の前に取り付くことができ安心し、クライミングを始めたのだが、アプローチですでに力を出し切ってしまったようだった。しかも、第4尾根取り付き前のアプローチで、落石が私の口に激突した!「痛い!」と叫び、ショックでしばらく落ち込むが、落石を落としたザイルパートナーは無視してそのまま進んでしまう始末。
ガスの無いバットレスの登りは、自分のいる場所がよく分かり、その瞬間にとても集中した。
振り向けば、マッチ箱のピークに圧倒された。この日のために、練習を重ねたセカンドを登るザイルパートナーのクライミングは、なかなかのものだった。
バットレスを登り終えたあと、北岳山頂を越え、肩の小屋のテント場にクタクタになりながらたどり着いた。登っているときは暑くて喉の渇きに耐えていたが、テン場はダウンが必要なほど寒かった。
「幸せだ・・・」とワインを飲みながらつぶやくTosizoさんとYamaさん。
次の日、朝ラーメンで温まったあと、下山を始めた。雲海に浮かぶ甲斐駒ケ岳、八ヶ岳とTosizoさん。
笑う膝でフラフラになりながら降っていった。さようなら北岳!また会いましょう。

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