コンヤ沢(安倍奥) 1日目 沢組合

2011年7月30日〜31日30度を超す蒸し暑い日が続いていた。沢登りにはうってつけの暑さだ。しかし、この数日間は気温が下がり、しかも梅雨のように天候は不安定となっていた。今回、「コンヤ沢」に釣り上がりながら一泊の予定なのだが、天気予報によると30日は晴れのち雨、31日は曇りのち雨となっていた。新潟のほうで3万人に避難勧告を出している雨雲が南下し、静岡にも来る可能性があるとのこと。どうも雨は避けらないようだ・・・。不安要素はまず沢の増水具合。ゴルジュの沢なので、強い雨なら水位がどんどん上がるだろう。慎重に見極めなければならない。次に心配なのが、雨のなかをタープで一晩乗り切れるのか?冷えた体を温める焚き火はできるのだろうか?だ。想像しづらい遡行となるだろう。奥深い「コンヤ沢」へと沢組合は足を踏み入れたのだった。
コンヤ沢に入渓する時には気持ちのいい青空が、いままで抱えていた不安を振り払った。3つの堰堤を巻き、広いゴーロ地帯を黙々と進んだ。
そして、現れるゴルジュの入り口・・・。相変わらず大きな口を開けて、獲物を待っている。今回の獲物は、天候が崩れるのを承知で沢に臨む、沢組合。「こんな時にこんな所にくるのなんて俺らはイカレているな・・・」ツッチャンが笑いながらつぶやいた。
「カエル君、久しぶりだね!」思わず声をかけた。2年前、コンヤ沢に来た時も、ホーキ沢出合いのこの場所にいたなあ。元気だった?
心配していた沢の水量は、台風の影響で多く感じたが、遡行は十分可能だった。さっそく現れる深い淵を泳ぎ、水の落ち口付近を、はい出て登る。
次から次へと大きな淵が現れる。淵の中では、ザックの浮力を使い岩壁沿いを進む。
水を含んだザックは重くなり、はい出て登るということは簡単ではない。<
両岸が切り狭まったゴルジュの水深は深く、
急流では流芯を避けヘツらなければ進めない。クライミング力が試される時だ。クライミング、体力とも問題のないツッチャン。頼もしい沢組合員だ。
核心である滝にたどり着いた。この滝を登れなければ、2年前のように、右側のもろく泥のついた壁をリードしなければならない。カッパを着込み、クライミング装備の準備をして滝の左の壁まで泳いでいった。下部がハングしているので、もう一手が届かない。滝つぼに流されないようにも気をつけなければならなかった。水の中にいるので体が冷えてきて、敢え無く断念・・・。
そうなると、もろい右側の岩壁を登る選択肢となり、2年前の恐ろしさがよみがえる。下部は問題なく通過するが、やはり中間部分で悪戦苦闘した。打ち込んだハーケンにより岩が剥がれぼろぼろと落ちていく。立ちこもうとすれば、泥に足が滑り、追い込まれていくような焦燥感に精神がむしばまれていく。時間をかなり掛けてしまったが、利用できそうな木を使い、やっと危機から脱出した。そのあとの荷揚げにも苦労するが、ツッチャンの気の利いたフォローで2つのザックを上げた。
一難さってまた一難。次の課題である高巻きが待っていた。迫力のあるおそらく2段の大滝は右岸を高巻くのだが、この頃から雨が降り出した。予想より早い時間に降り始めた。増水に注意がしなければ・・・。つらい高巻きを終え、沢に戻るために懸垂下降で降った。30mのロープ1本で足りる距離(10m強)の懸垂下降だった。
しばらく雨は止み増水の心配はないと判断し、今晩のおかずを求めツッチャンに釣り(テンカラ)を頼んだ。2匹釣ったら竿をしまい、急いでテン場を探しに行こうと思ったのだが、
魚影少なく、空しく時は経っていく。私もテンカラで魚を狙うが、毛鉤の近くまで行くアマゴはプイッと相手をしてくれない。ミミズを見つけ、えさ釣りに変更したツッチャンもこの日は上手くいかない。
チョックストーン滝の激しい水量に圧倒される。
結局、魚は釣れず、雨が降り続いたのでテン場へ向かった。雨の中、増水時にも大丈夫な場所へタープ2つを設営し、荷物を置き、濡れてしまった薪を探しに回った。焚き火は上手くいくのだろうか?濡れて冷えている体を温めたかった。そして、雨足の強くなっていくこの晩をタープでどう乗り切るのだろう?

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