烏帽子山 直上裏参道

2011年11月20日 烏帽子山直上裏参道
去年にトシゾーさんたちが登った海岸の絶壁、烏帽子山。その話を聞きぜひ登ってみたいと思っていた。前日に雲見に入り、民宿で海の幸を味わいながらQさんの誕生日パーティーを開いた。おいしい雲見の海鮮料理のおかげですてきなお祝いとなった。翌日、心配していた雨は止んだ。神社でこの登攀のため、また自分自身の人生の登攀のために神様に祈った。
夕べ遅くまで降り続いた雨は止んだが、岩がどのくらい乾いているのか?心配しながら取り付き地点へと向かった。神社の上に続く階段をもう少し登り、左へと踏み後に入り、海が見え始めると圧倒された!ここを登るのか!?眼下には波が打ち上げる絶壁が現れた。懸垂下降で海岸まで降りると、まず波が岩を打つ轟音にひるむ。岩は波で濡れていたが、それでもフリクションがとてもきく。これは登れるかもと自信が出てきた。
1ピッチ目、先頭はトシゾーさん。指がまだ完治してないので心配していたが、慎重に登っていった。ハーケン、カムを使いプロテクションを取る。自分の番が来た。不安は岩に触っていると消えていった。カムも決め、登ることに集中した。
H田さんから「ランナウトしてるよ!」の声に振り返り、ここから落ちたら、だいぶ下まで振られる、と考え出した。そしたら、恐れで体が動かなくなった。ハーケンを打ち込みロープをクリップし、ひとまず落ち着くと、また動き出す気持ちを取り戻した。核心を越え下を見れば、波を浴びるH田さんとsaeが波から逃げ回っていた。
トシゾーさんパーティーがピナクルを支点に使っていたので、ハーケン2つで支点を作り、H田さんとsaeを上た。2ピッチ目、洞窟ハングを回り向こう側へとキム姉さんが消えてから、私も登りだした。屈折したルートなのだが、ダブルロープをうまく使わなかったせいで、壁の途中で、ロープをいくら引っ張っても引くことができなくなってしまった。下から引っ張られた感じは、傾斜のゆるくない岩壁で、私を最悪の心境にさせた。助けを求めるが、どうすることもできない状態で、まさにがけっぷち。考えに考え抜き、ハーケン2つに流動分散の輪を作り、そこにハーネスから外したメインロープ1つを固定しそのロープを持ちながら、クライムダウンした。これでいいのか?ととにかく落ちることはできない。屈折したロープを直し、再び登り返した。かなりの時間がかかるが、下の2人がビレイ解除しないことを願いつつ、2ピッチを切った。
3ピッチ目、先ほどのアクシデントで疲れ果てたのでH田さんにリードを頼むがあっさり断わられ、しかたなくリードする。岩のもろさが恐い、木も点々と生えているので、枝にスリングをかけ利用する。樹林帯に入り、ここで3ピッチ目を切った。4ピッチ目は急な樹林帯。木をつかみながら、枝の隙間を登る感じ。
やっと緩やかな樹林帯となり、ホッと一息つくことができる。ここでトシゾーさん、Qさん、キム姉さんと合流した。一時間も待たせてしまった。みんなで「大変だったよ」と話し合っていると、またしてもH田さんが伝説を作ってしまったようだ。マルチピッチに入る前には、トイレでしっかり用を済ませてください!海から吹き上げる強い風に、H田さんから解き放たれたものは、しばらく空中に漂いさまよったという。絶壁でハーネスを外せる状態ではなかっただろう。どうしたのか気になったが、詳しく聞くのはひかえた。
5ピッチ目は樹林帯のなかの岩を登る簡単なルート。ここを抜ければ、
最終ピッチのクラックが現れる。グレイド5,7、決して難しくはないのだが、少し広めのクラックを目の前に緊張感が高まる。「どうだったかな?」と思い出しながら登りだすトシゾーさん。指の怪我にもかかわらず、危なげなく乗り越えた。
振り返れば、すばらしい景色が広がっていた。
Qさんはさすがだ、身軽にクラックを越えていった。次のキム姉さんだが、クラックが乗り越えられずとても苦労していた。これはまずいと思い、私がプロテクションを取り「肩に乗ってください!」とショルダーで登ってもらった。自分の番になり、カムをセットした。クラックのふちを持ちながら少しずつ上がり左足をクラックに入れ、体重移動すれば、こっちのもの。「フォー!」魂の雄叫びをあげた!
クラックの後のスラブにて。この瞬間を求めていた。
感動に浸りながら、後続の2人を待つが、なかなか上がってこない。感動はあせりに変わり、何があったのか心配になった。トシゾーさんに助けを求め、懸垂下降で見に行ってもらった。クラックで苦戦したsaeは腕がパンプして登れなくもがいていたらしい。H田さんとトシゾーさんに助けてもらいなんとか登ってきた。無事で何より。
最後はこの人で!烏帽子山直上裏参道、とてもすばらしいラインだった。貴重な経験できたこと感謝です。みなさんどうもありがとうございました!

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