南アルプス深南部 不動岳縦走 1日目(鹿の平)

南アルプス深南部 不動岳周回2012年1月1日
恒例の正月山行、今年選んだ場所は、深南部不動岳を中心とした、2泊3日の縦走だった。寒いが雪の少ないこの年は、どんな旅となるのだろう?3回目となるゲートに着く。が、ゲートまでの林道が崩れている箇所があり、川にいったん下りて、砂をとる機械の間を通り過ぎ林道に戻ることができる。ジムニーでよかった。数日前、水窪に雪が降り少し残っているがチェーンはいらなかった。
重い荷物をかつぎ、林道を歩き出す。気温は寒いが雪がない。山々の上のほうにもあまり雪が見えない。ラッセルはなさそうだが、水が心配だと話しながら進んだ。
前回の2回目となる不動岳の帰り、山桜と沢でビバークした後、必死で林道まで登りきり、助かった!とがっちり握手を交わした小屋の前に来た。あの時の記憶がよみがえる。
初めて不動岳に訪れた時、弟のshuと泊まった作業小屋。あの時、隣に住んでいたハクビシンはもういないようだ。山登りを始めたばかりだったので、シュラフは小学生の時買ったもの、服は綿だった。もちろん、ほとんど眠れなかった。この小屋の近くに水場がある。2時間ほどの林道歩きが終わり、不動岳登山口から登山道に入った。
登山口から急登が始まり、重たい荷物に苦しむ。あたりは笹の生えた深南部の森となり、静けさに包まれる。この山域には私たち3人だけだろう。高度計を確認すると、去年なら深い雪が積もっている標高となっていた。にもかかわらず、雪の少なさが気になる。水の確保に不安がつのる。
稜線に近づくと、鎌崩が姿を現した。初めて鎌崩を見たとき、遠目からでも、そのもろさが十分に伝わってきた。まさか、その鎌崩を冬に越えるとは、当時考えつくはずもなく、ザイルパートナーのトシゾーさんと体力、技術、精神力の全てを注ぎ込んだ経験はことばにし難い。
2ピッチ目のリッジ上の動く岩が見える。その動く岩の上にまたがる恐怖が脳裏をよぎる。ピナクルを回り込み、ピッケル、アイゼンをきかせ、登ったルンゼがあそこにある。ちょうど1年前だ。
点々と続く白い枯れ木、深い笹。深南部に来た。
やっと稜線に出ると、鹿の平を見ることができる。ここからの稜線歩きはすばらしい。
山上の楽園、鹿の平。
鹿の平にテントを設営し、元気なトシゾーさんは不動岳山頂に向かい、Qさんと私は残雪をかき集めて水を作った。雪が少なく、溶かした水は泥で濁っていたが、Qさんがハンカチでこして飲める水を作った。夕食を済ませ、暗くなると雪が降ってきた。鹿の平は最高のロケーションだが、風の通り道でもあり、テントに打ち付ける強風に何度か目を覚ましてしまった。しかし、2重のシュラフの中は暖かい。2日目に備えて再び眠りについた。

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