安倍奥 関ノ沢右俣(南沢)

2012年10月8日最近、やっと涼しくなりうれしいのだが、沢ヤにとっては同時に焦りの気持ちも出てくる季節でもある。中ノ滝登攀に成功したトシゾーさんに連絡し、安倍奥でおすすめの沢を聞いたところ、関ノ沢右俣南沢がいいということで、寒くなる前に沢登りの計画を立てた。
メンバーはツッチャン、シュウ、私、3人の沢組合が集結した。どうも、安倍川では渓流禁漁が11月から始まるようだが、今回は釣り竿なし、沢登り装備だけで朝8時、中ノ段の下に車を停め沢へと向かった。車から出ると、肌寒く、水の中は大丈夫か?と不安になった。救いは、山の上を照らす陽の光。天気は良さそうだ。
農道を歩いていくと、アスファルトが崩れていた。車では控えたほうがいいだろう。農道の終点でそのまま入渓できる。堰堤は左岸巻き。ヒルが多い関ノ沢だが、今回はここで見かけただけで済んだ。沢に戻るといい渓相となり、本格的に沢登りが始まった。今日は、なるべく水に浸からないようにへつろうと、3人とも意見が一致。ヘツリハングを落ちずに無事通過した。
沢に落ちている壊れたバイクを横目に進み、2段の立派な滝と対面した。1段目は滝の左壁を登り、2段目は滝の右壁を登った。途中のテラスで、滝の中を覚悟を決めてのトラバース。思っていたほど水は冷たくなく、ツッチャン、シュウとも問題なくシャワークライミングで通過した。
遡行図の8mスラブの滝か?滝の右壁をリードで挑戦した。しかし、思い描いたラインの壁部分が硬く、思うようにハーケンが決まらない!やっと打ち込んだハーケンも岩にひびが入り、とても使えるものじゃない。悪戦苦闘している私の写真を撮ろうと、右の倒木からツッチャンが登り始めた。あっという間にリードしている自分より上の壁の中間までフリーで登ってしまうではないか!?。最近クライミングをしていないツッチャンだが、あいかわらずいい登りをする。上部が嫌らしいので、そこは、ハーケンとトライカムを決めて、リードで登りきった。
すぐに、10mあるいは13mの滝に出会う。静岡県登山・ハイキングコース120選には、13m、15mは高巻くとあった。登れそうな気もするが、水にぬれた黒い岩はもろそうに見えた。この滝10mか、13mかどっちだろう?ツッチャンと登るか相談した。どっちの準備もできているとの返答が来た。もう一度、滝を見上げ考えたが、打ち込んだハーケンが、岩をくだく想像をしてしまう。結局、ここは無理をせずに高巻くことにした。
左岸から高巻き中、キノコの群生を見つけた。見るからにおいしそうなキノコだったが・・・。その後、懸垂下降で沢に戻るが、もう少しトラバースすれば懸垂下降しないで沢に降りることができる。
この沢にはいい滝が多く、ツッチャンにリードを勧めてみた。終了点の作り方とセカンドの上げ方を忘れていたらしいが、教えればすぐに思い出し、ハーケンでしっかりした終了点を作っていた。クライミングも、センスと身体能力で言うことなし。
水好きなシュウは、シャワークライミングへのためらいはない。ロープワークも覚え、クライミングも上手くなっている。あと、釣りを始めれば立派な沢組合員となるだろう。
簡単に巻ける滝も、敢えてロープを出して登った。ハーケンを打ち込む音が沢に鳴り響く!
「あっ!滝が見える!」の声に前方を見上げると、まだこんな存在感のある滝をこの沢は有しているのか?と思わせる中流部・10mの滝が現れた。「山やへの扉」にこんな滝あったかなと考え込むが、水量の違いでわからなかっただろう。近づいてみると、滝の右壁が意外と登りやすいことに気づく。登っている最中に、山やへの扉の記事を思い出し、ロープをだして、滝の上部へ登ってみた。水量が少なく、安全に抜けた。
上流部も飛瀑群で構成されていた。登れる滝が多く楽しめる。
スラブは慎重に通過。ロープを出して登っていたので時間が掛り、このあたりで歩くスピードを速めた。疲れもたまってきたが、沢の水量は減らずに。
ひたすら歩き、標高を上げると、やっとあたりは源頭部な雰囲気へと変わった。天気がよく、木々が美しい。水、岩、葉と沢ならではの風景をしばし堪能した。
水が枯れ始めると、沢の中に、まるで遺跡のように昔のワサビ田が段を作っている。
そして、苔の森へと入っていく。「いつからこうなっていたんだろう?これからもこうだろうな・・・」ツッチャンが苔に話しかけていた。シュウの方は「ここはエルフの森だ・・・」とロードオブザリングの世界へ行ってしまった。疲れと森の美しさがそうさせるのか?
トシゾーさんもブログ書いていたが、道らしき道?をたどり、少しの藪漕ぎをして、
登山道に出ることができる。すぐに十枚峠に着いた。せっかくだから、山頂へ行こうと決めるが、
峠から山頂まで、根性の登りだった。
十枚山山頂へは14時に到着。遠く続く山々を眺めながら、遅い昼食をおいしくいただいた。
直登ルートを降り、中ノ段へと無事に着いた。おそらく、これが今年の沢納めとなるだろう。関ノ沢右俣南沢、自分たちにちょうどいいレベルの沢で、とても楽しむことができた。沢の自然に感謝!また来年、沢クミアイましょう!

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