岩岳アイゼンガルド  サルマンサンバ、ウルク=ハイワルツ初登!

2013年3月17日もうすぐ里帰り期間が終わり、本格的な子育てが始まる前に、どうしても決着をつけたいことがあった!それは、岩岳アイゼンガルド ウルク・ハイワルツ初登・・・。「初登者として、自分の名前を刻みたい」そんな思いを胸に、ニールさん、アカシさんを頼り、岩岳アイゼンガルドへと向かった。
天気は晴れ。気温も暖かく、めずらしいことに風も穏やかだった。これはいけるぞ!
雪はかなり減っていたが、凍った道は今まで以上に気を使った。地蔵峠まで数人の登山者と会い、だいたい目的地は青笹山のようだ。地蔵峠で休憩しながら、「今日は風がないな~」と大きな声で私が言うと、ニールさんが「シッ!そういうことを言うと、聞かれてしまう」と注意した。あとになり分かったが、この忠告が本当になってしまう・・・。
真先峠から地蔵峠まで約40分、地蔵峠から岩岳アイゼンガルドまで約40分、休憩を入れるとアプローチは1時間半ぐらいかかる。正直に言ってしまうと、岩岳アイゼンガルドに着くころは、もうすでに疲れ切っている。フラフラでクライミングどころではない。しかし、
それでも、いい!このすばらしい眺めと、吹き上がる向かい風。
疲れているが、さっそく作業に入った。私はサルマンサンバのクラック掃除。トライカム、カムを使いセルフビレイを取りながら、苔を落とした。
ニールさんはウルク・ハイワルツのルート作り、アカシさんはその右のラインを掃除した。
腹が減ったので、昼食を取ることにした。リリー、ポリーもこのパーティーの大事な仲間だ。
昼食の頃まではまだ陽が出ていて暖かった。食べ終えて、さあまた再開しようとすると、何だか灰色の雲が立ち込めてきた。そろそろ、サルマンに気づかれてしまったか?
とりあえず、下に降りて、ニールさんがボルトをつけている間に、掃除したルートをトップロープでアカシさんが登ってみた。ホールドがたくさんあるように見えるが、なぜか難しいルートのようだ。5.11はあるのでは?
ウルク・ハイワルツのボルトを付けてくれたニールさんが、いよいよサルマンサンバを登り始めた。サルマンサンバは、ニールさんの得意とするスラブのラインだ。問題は、さっきから急に勢いを増した風と霧。霧でロープが濡れてしまうほど湿っていた。
さらに、吹き付ける風で体感温度はどんどん下がっていく一方。かじかむ手に耐えながら、ゆっくりと着実に登っていった。
肘の痛みのせいで、久しぶりのクライミングとなったニールさんだが、サルマンサンバ初登成功!グレイドは5.9。「寒くなければ、とてもいいルートだろう」と凍えるニールさんの感想。冷たい風と霧、サルマンの魔法か?私もサルマンサンバをリードしたが、楽なカンテ側より、難しいスラブの方へ登ってしまった。冷静にラインを読み取ることが必要だ。
次はアカシさんに登ってもらおうと思ったが、凍傷のように白くなった指では登れないと判断した。そうなると、ついにウルク=ハイワルツへの闘いに直面する時が来てしまったようだ。今日しかない私にとって、その霧に包まれた岩壁を前に、なんのためらいもなかった。目的に向かって、ただ登るだけ。自分自身がとてもシンプルでいられるような感覚だった。
核心はナッツをセットするクラックの後半。夢中だったので想像していたほど恐さはなかったが、数日たった今でも、その時の集中した感覚を思い出すと、ドキドキする。
腕はだいぶパンプしていた。レストしながら最後の力を振り絞り、念願のウルク=ハイワルツ初登達成!グレイドは5・10cかな?ニールさん、トシゾーさんたちにも登ってもらいグレイドを決める予定だ。
ニールさん、アカシさん、シュウ、アミ、ポリー、リリーと今回岩岳アイゼンガルドの開拓に携わったニール会に感謝の思いで一杯だ。ナチュラルプロテクションを使うしびれるルートとして、おもしろいものになったウルク=ハイワルツ(Uruk-hai Waltz)。ルート名はニールさんのアイデアで、ウルク=ハイとワルツの意外な組み合わせが、このルートのおもしろさを象徴している。もう少し、ルートが増える予定の岩岳アイゼンガルドが楽しみだ。あとはニール会の皆さん、お願いします!

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