2013年9月29日「調和の幻想」以前から、ニールさんにお願いしていた瑞牆山マルチピッチへ登るチャンスが突然訪れた。子供の頃見た瑞牆山の異様な全容は、とても印象的で、今でも自分にとって特別な山だ。去年訪れたカナトコルートでは、すばらしいマルチピッチを味わうことができた。ぜひ、他のルートも登りたいと探したところ、見つけ出したのがこの調和の幻想だった。5ピッチ目の15mランアウトのようすは、レポートを読むだけで手に汗をかいてしまう。
クラックの修行を積んでから行くつもりだったが、少ないチャンスに賭けるしかない。ニールさん、シュウと共に、瑞牆山へ向かった。天気は晴れ、青空に気分が高まった。
十一面岩左岸陵末端壁に着くと、クライマーがテラスで休んでいた。あのテラスまで行くのは、とても遠いだろうなと眺めてしまう。
混んでいたら、別ルートへ行こうとニールさんが話していたが、2人の1パーティーが取り付いたので、しばらく待った後、自分たちも登り始めた。リードは全ピッチをニールさんで、フォローがシュウと私。確実にプロテクションを取りながら、ニールさんが登って行った。そして、登りたい気持ちでいっぱいの私が続いた。ワイドクラックを何とか抜けた所でのナッツ回収に手こずり、その後のクラックを登りきったが、息切れがなかなか止まらなかった。
シュウの番が来て登り始めた。シュウは大丈夫か心配したが、意外と、私より時間をかけずに登った。上手くなっているなと感心したのだが・・・。
2pクラックからスラブ。足をクラックにねじ込み、無我夢中ではい上がった。その後のスラブがまたいやらしい。
シュウがナッツを回収できなく、「アンティークのナッツだから残置でいいよ」とやさしいニールさん。2p終了点付近の広くなった所で、昼食を取った。岩の塔に囲まれた瑞牆山ならではの風景がすばらしい。
3pルート取りに迷うが、クラックを登り後半で右に移動する感じ。右へのトラバースは体を投げ出すので、高度感にスリル満点だ。1p目は早かったシュウだが、2p、3pとも時間が掛っていた。このままでは、時間切れとなってしまうので、「早く登れ~!」と急かすと、「みんな違うんだよ!」シュウが怒り出した!
4p木登りからスラブ~右フレーク~中央に戻りハングしたクラックまでフレークを使いながら登る感じ。セカンドだから面白いが私はまだリードできるレベルに達していない。
そして、5p。グレイド5.8となっているが、15mランナウトの威圧感は想像以上だった。全ピッチをリードしたニールさんには疲れが溜まっていた。また時間もギリギリなので、無念の敗退となった・・・。リベンジを誓い、この場を去ることにした。次回はキャメロット#6を持ってこよう。そしてリードにも挑戦しなければ!
懸垂下降中に、11台のクラックルート登る佐藤さんに会った。「レユニオンどうでしたか?僕はトシゾーさんの友達なんですよ!」と話しかけると、「よかったです!」と答えてくれた。その後も、沢について少し会話を交わしたのだが、11台のクラックを登りながら、話しかける佐藤さんはやはり只者ではない。
西日に照らされた岩とシュウ。
帰りの登山道でちょうど日没となった。瑞牆山のグレイドは辛く、私には少し早すぎた感はあるものの充実感でいっぱいのクライミングだった。「調和の幻想」情報通りの魅力的なマルチピッチは、私のいい目標となった!
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