下西河内 日帰り 

「沢で泳ぎたい!」とスケムネさん。以前から気になっていた下西河内へ行くことにした。この計画にツッチャンも飛びつき、沢組合がそろった。連休だが、二人とも翌日の祝日が仕事なので、行けるところまで行く日帰りとなった。ネットでの記録は、にゅで氏、けも氏、こぶやん、あうあう王子、はっしーのパーティーのみ。かなり手練れた沢集団なのだが、増水による困難さがよく伝わる内容の沢旅だった。心身ともに沢で洗ってもらうつもりで、ゴルジュへと向かった・・・。
朝4時15分に寸又峡温泉に集合。準備をすませ、自転車で千頭ダムへ。(約1時間)長い1日が始まった。
にゅで氏たちの記録では、増水のせいで寸又川本流の渡渉が難しかったが、この日は前日の雨にもかかわらず、渡渉可能。
下西河内出合いは伏流している。日本の渓流釣り場に記されているように、この上流に水の豊富なゴルジュがあるとは想像しがたい。
ツッチャン、スケムネさんが、淵からはい出てうまく岩を登っていく。二人の後行こうと、淵から岩のホールドに手をかけた瞬間、ホールドではなく浮石だったことに気付いた。すでに遅く、そのまま落ちて淵に沈んでしまった。淵に落ちてもなんてことはない、よくあることだ。しかし、その時に落ちてきた浮石が頭に当たった。それほど大きくない石だったが当たり方が悪く、スケムネさんの「あれっ、血が出てない?」の言葉で痛む額を触ると、血が出ているとわかった。ポタポタ止まらない血に不安になるが、ツッチャンの持っていたキッチンペーペーを傷口に当て、手ぬぐいで締めやっと止血できた。
序盤から思わね事故で弱気になるが、朝日のおかげで元気を取り戻し、遡行再開始。
以前の針金トラバースとは違う位置になっているようだが、淵の左側からトラロープがぶら下がり、トラバースのための針金が横に延びるゴルジュにさしかかった。額の傷口が開くのを恐れ、私は針金トラバースを選択したが、ツッチャン、スケムネさんはそのままゴルジュ内へ。難解な登りをスケムネさんが解決した。
平水時だと思われるが、水の勢いがすごい。野性的な二人が頼もしい。
ツッチャンが手にしている輝いたアマゴ。沢では自然の恵みに出会う。豊かできれいな水は、土、岩、木、山のおかげであることを肌で感じる。自然のおかげであらゆるものが循環し、持続している。リニア新幹線の意味は何だ?南アルプス・大井川源流のトンネルは勘弁してくれ~!
右岸から前黒沢には3段ぐらいの大きな滝があり、そこから下西河内の核心部ゴルジュへと入っていく。このゴルジュ突破がどの程度できるか?今回はそれを見定めるために来た。5m滝が現れた。にゅで氏たちは増水で登れず高巻いた場所だった。
高巻くにしても両壁は立っており、泥が滑りそうだった。どうしようか相談していると、スケムネさんがリードすると言い出した。滝を見ながらワクワクしているスケムネさんにお願いした。
一個目の淵を泳ぎ、二個目の淵から滝へ向かっている時、スケムネさんが滝の流芯に吸い込まれた!顔が見えなくなったので、急いでロープを引き寄せた。リード交代かと思いきや、すぐに再トライし、見事5m滝を登り切った。
いくつかの滝や淵を越え、またロープを出す必要がある淵に行き当たった。こんどはツッチャンがリード。竜神の瀬戸を1撃しているので、見ていて安心だ。水流をうまく飛び越え通過!
飛び込むスケムネさん。(ネット記録のはっしーのダイブをイメージして?)
額の傷もふさがり、思い切りクロールで私もゴルジュ突破を試みるが、水に押し返されてしまった!体も冷え切り意気消沈・・・。
ここは高巻きでツッチャンがリード。泥が嫌らしくよく滑るが、沢での登りは本当にうまい。支点をハーケンで取り登り切った。
高巻いたあと、緩やかな尾根が右に続いていたので、帰ることにした。丸盆ノ沢までは行っていない、おそらく核心部がちょうど終わった所だと思われる。地図上の道は廃道だろうと分かっていたが、少しだけ期待はあった。まず難しかったのが、トラバースに入る道。何と書いてあるかわからない赤いペンキを見つけ、右へトラバースするが、ケモノ道程度のものしかなかった。
それから、道らしきものに出くわすが、すぐに崩壊あるいは見失うことを繰り返した。同じ方向へ、滑落しないようにトラバースしているので、左足が変に痛くなる。予想していた時間から少しずつ遅れていった。あの尾根が降り口じゃないかと期待し、裏切られ、最後はあきらめながら歩いた。こんなにトラバースしたのは初めてと思うくらいトラバース地獄を味わった!
薄暗くなり始め、フラフラになりながら、最後は<おしくら饅頭方式>で寸又川本流を渡渉し、自転車にたどり着いた。自転車では雨が降り出し、駐車場に着いたのは7時半ごろ。スケムネさんのお尻についたヒルを取りながら、約15時間行動の沢登りが終わった。次の日二人は仕事という、信じられない体力だ。赤石沢に向けていい修行になり、日頃のアカを心身ともに洗い流されたようだ。相手をしてくれた大自然に感謝!

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