赤岳(八ヶ岳)その1

足久保山岳会が一人前となるために、やらねばならぬことがあった。それは、雪の赤岳登頂・・・。去年登った天狗岳から、南の赤岳をにらみ、「来年はあそこに行こう」と会長とそう決めたのだった。
2012年3月3日、静岡の天気は、前日の金曜日まで雨。天気予報によると、3日土曜日は晴、4日日曜日は午後から天気が崩れるとなっていた。チャンスは3日、土曜日しかない。静岡を4時に出発した。美濃戸口でチェーンを着け、凍った林道をジムニーで通り抜けた。やまのこ村の看板が見えたときは安堵のため息をついた。駐車場に車を停め、いよいよ赤岳に向け歩き出した。
天気予報から、一日目に行者小屋にテントを設営し、荷物をデポ(置く)したあと、赤岳山頂へアタックしなければならなかった。急がなければならない。しかし、核心部分で動けるよう、体力を温存することも気をつける必要があった。「あせってはいけない」何度も自分に注意した。この日のために、マラソンで体力をつけていた会長・山桜は、初めてと思えるほど調子が良かった。重たい荷物にもかかわらず、順調に進む山桜に驚いた。「これはいける!」いい予感がした。
歩き出して、行者小屋まで約3時間かかった。急いでテント設営にとりかかった。やはり、八ヶ岳とあって利用する人が多く、地面を平にならされた場所があったので、そのまま使った。これで時間短縮となった。
予報どおり天気は晴。立ちはだかる赤岳に、高ぶる気持ちを何とか抑えていた。絶好のチャンスに、アタック開始。
登りは文三郎尾根を、下りは地蔵尾根を選んだ。つらい急登が続き、ここまで順調だった山桜のペースが落ちたように見えたが、山桜いわく、私のペースが上がったかもしれない。
どちらにしろ慣れないアイゼン歩きと、転んだら即、滑落というストレスの重圧に、疲労は蓄積されること間違いない。
後ろを振り返ると、高度感に圧倒される。滑落したら、もちろんただではすまない。確実にアイゼンをきかせ、登っていく。緊張の連続だ。
稜線に出たが、心配していた強風はなかった。それでも、体感気温はグッと下がる。山の仲間から、八ヶ岳稜線上で凍傷になった話を聞いていたので、目出帽を装着した。急な斜面では、ピッケルを雪に刺し、しっかりと確保しながら、
森林限界を越えていった。そして、
足久保山岳会、赤岳アタック成功!

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