ホラの貝のゴルジュ

2012年8月26日ホラの貝のゴルジュ。ゴルジュ好きには避けられない沢だろう。去年のイワンヤ沢に続き、ゴルジュ突破のミッションが始まった。
パーティーは、リーダートシゾーさん、私、今年沢デビューのshu、そして今日沢デビューのタッキーだ。「えっ?今日沢初めてなの?沢デビューが、ホラの貝のゴルジュ・・・?」不安になるが、普段からボルダーをがんばっているタッキーなので、クライミングは大丈夫だろう。あとは、滝壺に落ちて溺れないように、泳ぎができないと危険だ。タッキーに泳げるか尋ねると、「まあ上手くはないけど、なんとか泳げます」あいまいな返事だ。「何とかなるでしょ!」と二日酔いのトシゾーさんを横目に、「そうですね!」と空元気に答えた。ちなみに飲みすぎたのはクライミング仲間H田の結婚式。H田さん、おめでとうございます!
道の駅みとみでテント泊し、早朝から準備をするが、とても寒かった。あまりの寒さに、ゴルジュへの不安がつのる。歩きだし、日も差し込んできたのか、気温は上がりやる気も高まってきた。
二俣吊橋を渡ったあと東沢に降り立った。これから始まる冒険を想像できないほど、穏やかな渓相をしていた。
ゴーロもすぐに終わり、5mの滝が作り出した濃い緑色の釜が現れた。滝の左側をななめに伸びるクラックを使いトシゾーさんが楽しそうにフリーで登り、ファイントラックのロープで荷上げした。
釜が深いので、落ちても大丈夫だが、できれば落ちたくない。最後は高さと、滝のプレッシャーを背に、クラックを利用し登っていく。みんな、苦労しつつも登りきることができた。
やっとの思いで滝を越えると、今度は長い淵が。両側の岩が立っているため、へつることができない。泳ぐしか選択肢がない。泳いでいくと広いクラックがあり、その先に残置スリングが見えたので、ここかと登っていった。長い淵の泳ぎですでに寒い。
そして、ホラの貝核心部の入り口が・・・。水の色から深いことが分かる。恐る恐る泳いで侵入した。
「とうとうやってきました!」ホラの貝の核心に着いた。
ここは、やはりトシゾーさんの出番だ。ハーケンの残置と、トシゾーさんが打ち込んだハーケン1つにアブミをセットしながら、慎重にトラバースしていった。下の滝つぼに落ちたら、どうなってしまうのか?心配しながら見ていると、アブミを1つ釜に落としてしまった。そのまま浮かんではこなかった。それでも、スリングをうまく使いながら、無事通過。
その後、タッキー、shuともに時間はかかったが、落ちずに通過成功。自分の番が来て、緊張しながらアブミに体重をかけていった。釜を見下ろすと、滝の白泡の横に、濃い緑を通り越し、漆黒の色をした水がうねっていた。自分のいる状況に少しずつ慣れていき、落ち着きを取り戻してトラバースできた。
核心を越えられたと喜ぶのもつかの間、長い淵が私たちを待っていた。他の遡行レポーによると、水量が多い日には、すぐに流され、遡行不可能ともなる場所だ。しかし、この日は雨のない日が続き、水量はかなり少なかったようで、ヤバさは感じなくすんだ。。それでも、流れに逆らう泳ぎは大変だ。まだまだ続くゴルジュ。
shuがステミングを覚えたようだ。それにしても体が硬いな!
泳ぐ場面が多く、足久保川育ちの私と弟のshuは、楽しくてしょうがない。ゴルジュ突破は大変で、震えるほど寒いのに、なぜかみんなよく笑う。ゴルジュは、沢ヤをイカレさせる何かがある!ライフジャケットを装備したトシゾーさんも、タッキーも、泳いでいるときは苦渋の表情か、笑顔のどちらかだ。
ゴルジュ帯が終わると、日の差し込む場所に出た。ここで、しばらく日向ぼっこをして体を温めた。ゴルジュの中はとにかく寒かった。数組のパーティーに出会い、そのなかには沢ガールの姿もあったが、安倍奥沢ガールsaeにはかなわない!
帰りは、もちろんウォータースライダーで。
こんなに美しい滑り台は、滅多にないだろう。
核心の3mの釜はみんなでジャンプ!
落としたアブミを、水中メガネをしながらshuが探していた。3回ほど潜ったが、アブミが岩に挟まって取れなかった。shuに代わって、探すことにした。潜ってみると、想像以上の深さにためらうが、思い切って、もう一蹴りしてみた。日の光が差し込んみ、ヒスイ色をした水の奥深くに、大きな石があった。とても静かで、なぜかドキドキした。大きな石に挟まったアブミを思い切り引っ張り、アブミを奪還した。
自然の作り出す美しさに、ただ感嘆するばかり。
心の底から楽しんだ。ホラの貝に感謝。
ゴーロ歩きで体を温めた。今回のゴルジュ突破は、天候と水量に恵まれていた。
ホラの貝のゴルジュ、とてもいい沢だった。これでまた、沢仲間が増えたでしょう!

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