2日目の朝、夜降った雨も止み、たき火と朝ごはんの準備をトシゾーさんたちがしてくれた。ラーメンを食べ、荷支度を済ませた。これから黄蓮谷の核心部分が始まる。はたして、自分は黄蓮谷遡行できるほどに成長したのだろうか?
遡行をはじめてすぐに、まさかの雪渓が現れた。山を始めたころに、農鳥岳で雪渓を滑落した私にとって、沢靴での雪渓歩きは恐怖以外何ものでもない。気軽に歩いているみんなが信じられなかった。仕方なく後をつけるしかなかった。
無事に雪渓を通過し、坊主ノ滝の長い高巻きを終え、再び沢に戻った。ちょうど二俣に降り、右俣へと進んだ。
奥千丈ノ滝が始まるのだが、また雪渓が現れてきた。雪渓になると予測しづらく、一抹の不安がよぎる。奥のガレた滝を登る3人パーティーが遠くに見えた。苦労しているようだ。
スノーブリッジの下に通れそうなスペースを見つけた。雪渓のトンネルの下は崩壊の危険があるので急いで通過した。
雪渓の下を通れない場合は、上を歩くのだが、下と同様に崩壊の危険がある。しかし、問題は雪の斜面を、沢靴で歩かなければならないということだ!1回のスリップが、即事故となるだろう。傾斜の強い雪渓の通過は、なるべく避けたかった。自分一人だった、とっくに逃げ帰っていた。仕方なく後をついていったのだが、通過した後のノドの渇きは半端じゃなかった。
先行パーティーはガレた滝を選んでいたが、私たちは水流を進んだ。単純に水流のほうが遡行しやすいという理由だ。なぜガレた滝を進んだのか?疑問に思いながらシャワークライミングで登った。苔で覆われたいやらしいなスラブが目の前に立ちふさがった。こういうイヤなところはトシゾーさんの出番だ。カムを使ったうまい処理で、すばらしい登攀を見せてくれた。後続はプルージックで登った。
爆流帯に入り、ほどよく登れる滝を楽しく登った。
スラブの斜面やクラックを使った登攀が続いた。
奥ノ二俣ノ滝に着くと、残置ハーケンが見えた。ここが最後にロープを出すところかもしれないということで、大御所・会長K籐さんにリードを託した。さすがK藤さん、上部で粘りながらも乗り越えた。
源頭部につくと、イワカガミの咲くお花畑となった。
そして、急でつらい詰めに苦しんだ。最後のハイ松漕ぎはまるでラッセルのようだった。ここで先頭を行くのは、トシゾーさんとQさんの冒険家夫婦だ。この二人の底力には、いつも驚かされる。
フラフラになりながらも山頂にたどり着いた。3年前の記憶をたどりながら、似た構図で写真をとった。いい写真だが、そこにツノッチのいない淋しさがこみ上げてきた。
このあと、7丈小屋のテン場を目指し下山するが、満席で5丈小屋跡地まで下りそこでもう一泊した。3日目は長い黒戸尾根を体中の痛みをこらえながら下山した。フラフラになりながらも達成感のある沢旅だった。黄蓮谷右俣遡行達成!これで自分を沢ヤと言えるでしょう!今回のパーティーのチームワークに感謝です。
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