石灰岩のゴルジュ イワンヤ沢遡行
連休は栗代川へとtosizoさんと遡行するはずが、天気予報が悪く断念することとなった。今年の夏が終わった・・・と肩を落としていると、tosizoさんからゴルジュの誘いが!戸台から入るということで、南アルプスの向こう側まで回らなければならず、遠いことが気になったがゴルジュに惹かれtosizoさん、Qさんのパーティーに参加した。前夜静岡を出発し、とちゅう道の駅にテン泊して、早朝、戸台登山口から戸台川を歩き始めた。肌寒く水につかる気にはまだなれずにいた。
イワンヤ沢の出合いは、本当にここか?と思うような、平凡なヤブに覆われた沢だった。tosizoさんが、沢ヤの成瀬さんから聞いていたおかげでわかったであろう。流された石灰岩で白くなった砂利が目印だ。日が差していないので、薄暗い灰色の石灰岩の沢を淡々とさかのぼった。
ゴルジュが近いとtosizoさんが判断し、カッパ、ハーネス、クライミングギアを装備した。白い石灰岩の切り立つ岩が現れた。高さ約25m。そこに縦に伸びる、切れ間が私達が目指すゴルジュだ。
期待と不安に震えながらゴルジュに入ると、はるか上空からわずかに差し込む日の光と岩の色のせいで、青黒く映る水の流れが印象的だった。ゴルジュ内一つ目の滝は私がtosizoさんの肩に乗り、飛び出した岩の上にまたがるようにしてショルダーで乗り越えた。
ゴルジュ内二つ目の滝はtosizoさんのリードで・・・。3mほど登りハーケンを打っている際、落ちてくる滝の水圧に押されtosizoさんがバランスを崩した。あっ!?と思った瞬間、tosizoさんが落ちてしまった!幸い水の中でケガなく着地できた。気合を入れもう一度登りだす。ハーケンを決め上へと緊張しながら登るがセルフビレイを取り忘れ、ヤバイ体勢でヌンチャクを取った。
下から凝視している私はハラハラものだ。「フォー!」上部の微妙なムーブをこなし、フリーで登りきったtosizoさんが雄叫びをあげた。続くQさんは出だしで苦戦していた。少し手伝うと後は身軽に登っていった。
ゴルジュ内三つ目の滝は私がリードした。淵を泳ぎ滝の水際を登るのだが、コンヤ沢で登れなかった似ている条件の滝を思い出した。「淵から岩へ」この一手が難しいと思われる。水からはい出るには水の重さが加わるのかもしれない。とにかくその一手に懸けなければならない。今回とても冷静に集中でき、淵からの脱出に成功した。そして得意のナッツをガッチリ決め滝攻略を確信し、魂の雄叫びをあげた!Qさんはステミングでピンチを乗り越えた!
ゴルジュが終わり、下降するための左俣へ尾根を越える。穏やかな光で尾根は美しかった。修羅場が続いたので、私達には精神的な休息が必要だった。
左俣からは懸垂下降の連続が始まる。丸くえぐれた滝を目の前に見ながら降りていった。
探検をしているような雰囲気。
すべすべな岩の間を、淵と滝が連続する不思議な場所だ。とにかく懸垂下降。
この滝はすべり台。落ちても水が深く背の高いtosizoさんでも足がつかない。Qさんの着用したライフジャケットはとても安心感を与えるそうだ。
右俣ゴルジュの入り口。ここをアブミで登る人たちもいるとか、すごいな。
戦いを無事に終え、体を乾かした。見事な青空。ゴルジュ突破には最高の天気だ。
沢を降りる途中にある、洞窟のなかの滝。
時間も長くなく、それでいて石灰岩の不思議な地形の冒険が味わえるイワンヤ沢。楽しいゴルジュ突破ができた沢遡行だった。
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